ぶどうの王様と呼ばれ、古くから親しまれてきた巨峰。紫黒色の丸く大きな粒で、豊かな香りと濃厚な甘みが味わえる食用ぶどうです。さまざまなぶどうが品種改良により生まれる中で、根強い人気があることでも知られています。実は巨峰は、伊豆市が生まれ故郷のぶどうなのをご存じでしょうか?
中伊豆ワイナリーでは地元で生まれた巨峰を使ったやさしい味わいのワインを造っています。巨峰の生まれ故郷中伊豆ならではの味わいをぜひご賞味ください。
巨峰の生まれ故郷・中伊豆町と、巨峰の父・大井上康
濃厚な甘みとやさしい酸味で、ジューシーな味わいが楽しめる巨峰は昭和19年(1944年)に中伊豆町上白岩で生まれたぶどうです。
キャンベルアーリーの四倍体大粒枝変わり品種である「石原早生」を父にもち、ヨーロッパ系ぶどう品種、ロザキの四倍体大粒枝変わり品種である「センテニアル」を母として交配され、生まれました。
巨峰を生み出したのは、広島県江田島生まれの農学者で、巨峰の父と呼ばれる大井上康氏。大井上氏は幼少期に大病で入院し、そのときの付き添いの女性が植物好きで、植物の話をたくさんしてくれたことをきっかけに、植物に興味を持つようになったといいます。
東京農業大学に進み、茨城県牛久にあるぶどう園の技師として働いた後、大正8年(1919年)に現在の伊豆市の谷戸峰山頂に自身の研究所である「大井上理農学研究所」を設立しました。
3年後にはぶどうの栽培学の研究のために、ドイツ、イタリア、フランスといったヨーロッパの国々に留学し、物理と生物学に基づいたヨーロッパの農学を学び、帰国します。
ヨーロッパのように乾燥した土地でなければ、高級ぶどうは育たないという定説を打ち破るために、大井上氏は大粒ぶどうの新品種を開発し、露地栽培する研究に注力していきました。
衣食もままならない貧窮した研究生活の中でさまざまな交配品種のぶどうを生み出し、そのひとつである「石原早生」と「センテニアル」を掛け合わせ、生まれたのが巨峰です。
粒が大きくて甘く、香り高く味わい深い、果汁がたっぷりと含まれたぶどうはこれまでのぶどうと一線を画したものでした。大井上氏はこのぶどうを、富士山の裾野のように全国に広く広まって欲しいとの願いを込め「巨峰」と名付けました。
中伊豆ワイナリーのある伊豆市は、温暖で雨が多く、巨峰の栽培が難しいことから、育てている人が少なくなりましたが、今でも山梨県を中心にたくさんの農家が育てているのはご存じの通りです。
中伊豆ワイナリーでは山梨県産の巨峰を使い、甘口のロゼワインを造っています。
巨峰ならではの豊かな香りと、取れたてのぶどうを食べたときのようなやさしい甘さ、そして皮の内側に含まれている濃厚なエキス分を感じられるワインは、ワインだけで楽しむだけではなく、フルーツタルトやいちごパフェ、フィナンシェやマドレーヌなどの焼き菓子とともに楽しむのもおすすめです。
中伊豆の豊かな大地がゆりかごとなった巨峰のワインをぜひお試しください。
巨峰ロゼ甘口のワイン造りについて
山梨県で購入したぶどうを山梨県内のワイナリーで、醸造の方針やワインの品質を中伊豆ワイナリー専用のものとして委託醸造しています。
通常の巨峰のワインと比較すると、かもし期間を長めに取ることで、巨峰ならではの色と味わいをより一層引き出しました。出来上がったワインは中伊豆ワイナリーに輸送し、最後の味の調整や濾過を行い、瓶詰めしています。
テイスティングノート
透き通って輝く桜色のワインは、甘く渋みはかすかで、フルーティな味わい。ぶどうジュースを思わせる果実感のある香りと、濃厚なエキスを感じる味わいは、まるで巨峰を食べているかのよう。
酸味が少なくバランスが良い味わいで、アルコール分も軽やか。食前酒として楽しんだり、食後にフルーツタルトやアイスクリーム、いちごやフルーツのパフェなどのスイーツ、フィナンシェやマドレーヌなどの焼き菓子と合わせていただくのもおすすめです。
巨峰ロゼ甘口 概要
製品名 巨峰ロゼ甘口
ぶどう品種 巨峰100%
ぶどう産地 山梨県
アルコール分 11%