中伊豆ワイナリーが生まれた頃に植えられ、ワイナリーとともに成長してきた信濃リースリング。今では栽培しているワイナリーは数えるほどしかなくなりましたが、ワイナリーの歴史と共に育ってきたぶどうの樹から生まれるワインは、中伊豆ワイナリーの歩んできた道を明るく照らし出してくれます。飲む人をやさしく包み込んでくれるような、やわらかく穏やかな味わいをぜひご賞味ください。

 

中伊豆ワイナリーが切り拓いてきた道を照らす、ワイナリーとともに成長してきたワイン

信濃リースリングはドイツの主要品種のひとつであるリースリングを父にもち、今や世界品種となったシャルドネを母にもつ、ヨーロッパのサラブレッドのような品種です。
中伊豆ワイナリーが出来たばかりの頃、信濃リースリングもまた交配品種として世の中に出たばかりの期待の新人でした。

信濃リースリングは、いまや栽培しているところは数えるほどしかなく、煌めいていた過去の記憶は、ワイン愛好家のなかでは色褪せてしまったかもしれません。

しかし、ここ中伊豆ワイナリーでは、ワイナリーがまだよちよち歩きだったころから共に育ち、その歩みを見守り続ける品種でもあります。
ワイナリーの歴史とともに、充実した実をつけるようになったぶどうの樹から生まれたワインは、ある意味ではワイナリーのメルクマールとして、常に切り拓いてきた道を照らすものだったとも言えます。

信濃リースリング辛口2022は文字通り辛口ではありますが、あえて辛くしすぎないように造っているため、ふっくらとしたボディが感じられる分懐が深く、飲む人をやさしく包み込んでくれる包容力があるものに仕上がっています。

忙しい毎日の中で、ふと立ち止まって来た道を振り返りたくなったとき、信濃リースリング辛口2022を良く冷やしてグラスに注げば、その華やかでフルーティな香りと、やさしさのある口当たりに、きっとホッとするはずです。

もちろん、信濃リースリングならではのすっきりとした酸味のバランスが良く、キレが良いのもいいところです。軽やかで飲み疲れることがないので、前菜からメインまでを1本で通すのにも向いています。

包容力のあるふくよかなボディに、やわらかなうまみが感じられるため、昆布締めにした鯛やヒラメ、天ぷらや海老真丈などの椀物のような和食との相性もよく、特別な日の1本にもぴったりです。お疲れさまと自分の労をねぎらいたい夜に、ぜひ味わって頂きたいワインです。

 

2022年のぶどうの生育について

2022年は春に雨が多く、気温も高めで推移したなかで、萌芽や開花は平年通りに始まり順調にぶどうが成長。梅雨の時期も雨が少なく、梅雨そのものも短かったこともあり、病気を抑え込むことができました。

ぶどうの房が雨に当たらないように、垣根にビニールフィルムを張る「グレープガード方式」で信濃リースリングは育てられていますが、上から雨が入ってしまわないように、ビニールフィルムをクリップで留める際に気を使って作業をしました。

収穫時の糖度は平年並みの19度前後で、酸度は9〜8.5g/リットルとなり、糖と酸のバランスの良いぶどうを収穫できました。

 

2022年のワイン造りについて

2022年の信濃リースリング辛口は、2つの圃場のぶどうを使っています。一方はやや成熟の早い圃場のもので、もう一方は味わいの深いぶどうが取れる圃場のものです。

成熟の早い圃場のものはぶどうの房をまるごと圧搾する「ホールバンチプレス」を行い、味わいの深い圃場のものは除梗してから破砕はせずにプレスしました。果汁を低温にして澱下げを行い、クリアな状態にしてから低温発酵。補酸はせずに補糖を行い、華やかな香りが出やすい、ドイツ系の酵母を使用して最初の発酵を行いました。

ちょうどよい甘さになったところで澱引きをし、温度を15度前後まで上げてから、トロピカルフルーツの香りが出やすい別の酵母を添加し、2回目の発酵を行い、その後冷却して澱引き後、ろ過を行って瓶詰めしています。

 

テイスティングノート

美しいレモンイエローのワインは、白桃や洋梨のアロマが感じられ、空気を含ませると信濃リースリングの特徴でもある青りんごやレモン、白い花のブーケが香ります。和柑橘の皮のような香りや、グアバやパパイヤのようなトロピカルフルーツの香りが華やかな印象です。

口当たりはなめらかで、充実したぶどうを感じさせるふくよかさと、柑橘類のようなすっきりとした酸味が感じられ、ふんわりとやさしい味わいとやわらかなうまみが飲む人を包んでくれます。

昆布締めの鯛やヒラメ、海老真丈などの椀物、天ぷらなどの和食に加え、チキンのフリカッセやオランデーズソースを添えたホワイトアスパラガスなど、前菜から軽めのメインまで幅広くマリアージュを楽しむことができるワインです。

 

伊豆信濃リースリング辛口2022 概要

製品名 伊豆信濃リースリング辛口2022
生産本数 1778本
ぶどう品種 信濃リースリング100%
ぶどう産地 静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%
アルコール分 12.5%