記録的な猛暑や6月の大雨など、人にとってもぶどうにとっても厳しい1年となった2023年。ていねいに手入れをした品質の良いぶどうが今年も収穫できました。山ぶどう系の赤品種、ヤマ・ソービニオンでできた新酒は、いつになくフルーティな味わいに仕上がりました。ぜひお料理と合わせてお楽しみください。

 

程よい甘みとフルーティな味わいの、バランスの取れたライトな赤

秋のワインのトピックというと、大きいところではボージョレ・ヌーヴォーが挙げられますが、日本ワインも11月になると新酒のリリースが始まります。中伊豆ワイナリーでもほかの地域のワイナリーと同様に、11月に入ってから今年出来立ての新酒を毎年リリースしています。

ボージョレ・ヌーヴォーと同じように、その年のワインの出来を見るためにも大切なのが新酒の出来具合です。今年は冬から春にかけてとても暖かかったのを覚えているでしょうか。その暖かさでぶどうが芽吹くのも例年より10日ほど早く、ぶどうの花が咲くのもそれに従って早くなり、順調に育っていました。

しかし6月には例年の2倍にもなる降水量が記録され、夏の暑さも猛暑という言葉を通り越したような気温だったのは記憶に新しいところでしょう。

大量の雨で病気になったぶどうも一部あり、人間と同様にぶどうの木も暑さで疲れていましたが、ていねいな手入れの甲斐あって、今年も無事にぶどうを収穫することができました。

今年の伊豆ヌーヴォー赤は、通常であれば酸味がとがりがちなヤマ・ソービニオンが、いつになくまろやかな口当たりとなり、フルーティな香りとジューシーな味わいが楽しめる1本となりました。

軽く冷蔵庫で冷やしてからキャップを開ければ、食欲の秋にぴったりとくるような、程よい甘さとバランスの良い味わいが、秋に旬を迎えた野菜や魚介ともぴったり来ます。

旬のさんまやさばを塩焼きにしたものや、きのこをたっぷり使った炒め物、肉じゃがやコロッケなどの家庭料理とも好相性です。ぜひ秋のごちそうとともにご賞味ください。

 

2023年のぶどうの生育について

2023年は冬場暖かく気温が高かったため、ぶどうの芽が出るのも花が咲くのも平年より約10日ほど早くなったものの、ぶどうは順調に育っていきました。しかし梅雨の時期、特に6月は非常に雨が多く、例年の2倍ほどの雨が降ったことが原因で、一部の品種がべと病にかかってしまいました。

病気になったぶどうも含めて、ていねいに手入れを行うことで病気を防除し、やってきた夏は記録的な猛暑だったのはご存じのところでしょう。

しかも、ぶどうが熟す8月頃にはやや雨量が多く、あまりの暑さに人間だけでなく、ぶどうの木にも疲れが見られたのが今年の大きな特徴でもありました。

ヤマ・ソービニオンは例年より少し糖度が低くなりましたが、暑さもあって酸度が程よく下がり、山ぶどう系品種によくみられる鋭い酸味が和らぎ、バランスの取れたぶどうが収穫できました。

 

2023年のワイン造りについて

収穫したヤマ・ソービニオンは除梗してからワイン用酵母を使用し、ステンレスタンクで発酵させました。

発酵を始めて初期の段階でやさしく搾汁し、途中補糖を行ってそのまま発酵を行い、程よい甘さが残った状態でろ過を行うことで発酵を止めています。

最後に仕上げのろ過を行ってから瓶詰めしました。

 

テイスティングノート

透明感のある鮮やかなサクランボ色のワインは、若枝を折ったような青い香りと、インクやスミレ、グレナデンシロップのような香りが感じられます。

グラスを回してワインに空気を含ませるとチェリーやベリー系の果物の香りに加え、リコリスやいちじくのコンポート、かすかに清涼感のあるハーブの香りが現れます。

ぶどう由来のほんのりとした甘みとまろやかな口当たり、ジューシーでフルーティな味わい。アルコール分も軽めなので、休日のランチなどに飲むのにもおすすめです。軽く冷やして飲むとよりフルーティさが際立ち、お料理にも合わせやすくなります。

チキングラタンやマッシュルームのアヒージョ、かつおのカルパッチョなどに加え、さんまの塩焼きやコロッケ、肉じゃがなどの和風の家庭料理にも合わせやすい1本です。

 

伊豆ヌーヴォー赤 2023 概要

製品名 伊豆ヌーヴォー赤 2023
生産本数 1408本
ぶどう品種 ヤマ・ソービニオン100%
ぶどう産地 静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%
アルコール分 10%