ブドウ栽培家にとって、一年の努力が実を結ぶ季節がやってきました。2023年8月20日、今年もシャルドネから収穫が始まり、プティ・ヴェルドは成熟期を迎えています。今回は私たちのブドウの生育過程と栽培にかける情熱について深く掘り下げていきます。雨よけ、防鳥ネット、果実の品質管理、そして成熟期について詳しく見ていきます。

 

『雨よけと防鳥ネット – ブドウの保護』

 

ブドウの栽培は他の農作物とは違う独自の注意が必要です。特に、シャルドネのような晩夏に収穫を迎える品種での場合、病害と鳥獣害からブドウを守るために雨よけと防鳥ネットが重要になります。雨よけ(グレープガード)は、ブドウの房を雨から保護し、カビや病害を防ぎます。防鳥ネットは、スズメやヨドリなどの鳥類だけでなく、シカやハクビシン、アナグマなどの獣害からブドウを守ります。これらのアイテムは、安定したブドウの収量を確保するために欠かせないものです。

 

『収穫タイミング – 糖度と酸度の調和』

ブドウの収穫は、ワイン醸造において重要な要素の一つです。収穫のタイミングは、醸造したいワインをイメージしながら、糖度と酸度のバランスを見て慎重に決定されます。

白ワイン用ブドウであるシャルドネの場合、出来るだけ高い糖度が求められますが、酸も適度に残す必要があります。しかし、糖と酸のバランスは天候によって崩れやすいため、農場の各畑・品種ごとにサンプリングしたブドウの分析を毎週工場で行います。

その結果を踏まえた上で収穫日を決定するため、醸造チームとの連携が不可欠です。収穫日を見極めることは、高品質なワインを作るために欠かせないステップです。

 

『ブドウの品質管理 – 腐敗果や未熟果の取り除き』

 

品質管理の一環として、ブドウの収穫時に欠かせないのが、腐敗果や未熟果の取り除きです。木から収穫されたブドウの房は、腐敗果や味が無い未熟果の粒をピンセット付きの鋏を使用して慎重に取り除いていきます。

この作業は非常に手間がかかりますが、ワインの品質を高め、風味を損なわないために、一房ずつ手作業で丁寧に行います。ブドウの品質はワインの出来に直結するため、細心の注意が払われているのです。

 

『収穫のプロセス – 収穫箱の使い方』

 

収穫されたブドウは、収穫箱に収められていきます。収穫は最大12キログラムほどまで入れることができますが、ブドウの重さを考慮して満杯にはせず、8分目までしかブドウを入れません。この方法はブドウが重さで痛むことを防ぎ、ワインに悪影響を及ぼす可能性を極力減らすためのこだわりの一つです。

 

『プティ・ヴェルド –熟期の遅い収穫品種の特別な注意』

 

プティ・ヴェルドは、晩熟型(収穫期が遅い)品種の一つで、現在ヴェレゾン期(着色が始まり、果粒が柔らかくなる時期)に入っています。

収穫までまだ40日(※8月28日現在)近くありますが、夏の終わりから秋が深まるまでの期間は天候に加え獣害が心配です。収穫時期が遅い品種は、台風などの影響を受けることも多いため注意が必要で、適切な管理と保護が必要です。

 

これまでに続き、雨よけと防鳥ネットは、プティ・ヴェルドの品質を守るためになくてはならないアイテムです。

 

『ヤマ・ソービニオン – 早期の成熟期』

 

ヤマ・ソービニオン(カベルネ・ソーヴィニヨンとヤマブドウの交配種)は、赤ワインに使用される黒ブドウ品種の中でも、成熟期に入るのが非常に早い品種です。

着色が始まってから1か月以上が経過していますが、収穫までにはまだ30日前後あります。(※8月28日現在)

ヤマ・ソービニオンは成熟も早いため、収穫時期を見極めることが非常に重要になってきます。糖度や酸度が適切な状態になるように、栽培家たちは日々ブドウと向き合っています。

 

まとめ

ブドウ栽培家としての1年間の努力が、収穫期に入り集大成を迎えています。

雨よけ、防鳥ネット、収穫のタイミング、品質管理、収穫のプロセス、そして遅い収穫期と早い成熟期に対する臨機応変な対応が、高品質なブドウとワインの製造には欠かせません。これらの努力が、美味しいワインの誕生につながることを願いながら、栽培家は日々奮闘しているのです。

ブドウを収穫している様子を見学できるのは1年の中でも今の季節だけですので、是非ワイナリーへ足を運んでみてください。