フランスのボルドー地方では補助的な品種でありながら、アルゼンチンでその個性が開花したプティ・ヴェルド。ここ中伊豆ではその温暖な気候や、そこに住む人々の優しさと人懐っこさを思わせる、包容力のあるワインに仕上がっています。中伊豆でしか出せないやわらかな味わいに、ぜひ触れてみてください。

 

中伊豆という「約束の地」の、自然と人々を映し出してくれる品種、プティ・ヴェルド

フランスの銘醸地として知られるボルドー地方では、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの補助的品種として、スパイスのような役割を果たし、南西地方では「黒いワイン」と呼ばれる濃厚なワインを生み出すプティ・ヴェルドは、フランスから遠く離れたアルゼンチンで銘醸ワインを生み、花開いた品種として知られています。

温暖な気候で知られる中伊豆の地でもその個性を発揮し、「中伊豆らしさ」が凝縮されたようなワインが生まれています。

「こんな土地でぶどうを栽培してワインを造るのは無理だからやめた方がいい」

誰もがワイナリーの立ち上げに難色を示した中伊豆は、台風の通り道でもあり、収穫期に降水量が多いことでも知られる土地。

創業者のふるさとでもある「約束の地」が生み出すプティ・ヴェルドは、中伊豆の豊かな自然だけでなく、そこに住む優しく人懐っこい人々の姿さえも映し出し、味わっていてあたたかな気持ちになるワインに仕上がっています。

中伊豆の丘の上で育ったぶどうが醸し出す、中伊豆のあたたかさを感じてください。

 

2019年のぶどうの生育について

2019年は梅雨の雨量が多かっただけでなく、台風15号と19号が伊豆半島を直撃。
そのため、降水量は近年でも特に多く、様々な品種で病気も発生した年でもありました。

そんな中プティ・ヴェルドはしっかりと熟し、糖度も黒ぶどうの中では最高を記録。

酸度はやや低めながらも着色もよく、良いぶどうが収穫できました。
収穫は10月15日から30日と遅めで、複数の圃場のものを使用しています。

 

2019年のワイン造りについて

除梗した葡萄の粒を2つのタンクに投入し、2種類のワイン用酵母を使用して発酵。

プレス後にステンレスタンクにてマロラクティック発酵を行い、12ヶ月間樽熟成してから、澱引きを兼ねてゆっくりと樽から出して静置。色味や味わいがより強く感じられるよう、無濾過で瓶詰めしました。やさしさのあるワインを何も引かずに、そのままの味わいが楽しめるものに仕上げました。

 

テイスティングノート

黒みがかった濃いルビー色のワインは、杉や松のような針葉樹の香りとアメリカンチェリーやブルーベリーのような黒い果実のアロマ。熟したカシスやプラム、なめし革のブーケに、樽由来のかすかなチョコレートの香り。口当たりはやわらかでふくよか。タンニンのキメが細かく、無濾過ならではのふっくらとした厚みが感じられる。温暖な気候の中で育ち、中伊豆のおおらかな人々が育てたことが感じられるような、包容力のあるワイン。牛テールの赤ワイン煮やタンシチュー、グレイビーソースを添えたローストビーフなどとともに味わいたい赤。

 

伊豆プティ・ヴェルド 2019 概要

製品名 伊豆プティ・ヴェルド 2019
生産本数 1350本
ぶどう品種 プティ・ヴェルド100%
ぶどう産地 静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%
使用酵母 LALVIN ICV GRE、LALVIN ICV D254
使用樽 約230ℓブルゴーニュタイプ(フレンチオーク、ミディアムトースト)
瓶詰め日 2020年12月16日

 

果汁分析値(複数圃場の平均値)

比重 糖度(%) pH 総酸(g/ℓ)
1.085 20.5 3.40 8.67

 

ワイン分析値

比重 アルコール分(%) pH 総酸(g/ℓ) 残糖値(g/ℓ)
(グルコース換算値)
0.995 12.3 4.15 6.00 3.6