フランスのソーテルヌ地方で造られる極甘口ワインのことをご存じでしょうか。ぶどうに貴腐菌というカビがついて果実から水分が抜け、凝縮したものを搾って造られることから「貴腐ワイン」と呼ばれます。
はちみつのような香りと甘み、とろりとした口当たりが特徴で、食前酒や食後酒として尊ばれています。実は、ごく少量ではあるのですが、極甘口のワインを中伊豆ワイナリーでも造っています。ぶどうのエキスと甘みを凝縮したような高貴な味わいを、ぜひお試しください。
そのはじまりは意外な理由から。伊豆 Extra Sweet の誕生秘話
実は元々、このワインが生まれるきっかけとなったのは、ほかのもろみを補糖するために造っていた果汁にありました。
中伊豆ワイナリーの定番白ワインである「伊豆信濃リースリング」の甘口と辛口は、発酵中のもろみの補糖のために通常は上白糖を使用しますが、ワインの香りや味わいをより濃くするために、同じ自社畑で収穫されて搾汁された果汁を冷凍濃縮した果汁を使っていました。
この冷凍濃縮した果汁を使ってワインを造ったらどうなるか。そんな実験的な発想がきっかけとなり「伊豆Extra Sweet」は生まれました。
ファーストヴィンテージは2021年。以来毎年ごく少量ずつですが造っています。
収穫した信濃リースリングを除梗してから搾り、果汁を冷凍庫で約3週間保管して、いったん凍結します。
凍ったものを冷凍庫から出すと果汁が溶け出しますが、溶け始めの果汁は糖度が非常に高く、45度以上になります。
通常のワイン用のぶどうの糖度が15〜24度程度と考えると、この果汁がいかに甘く濃いものか感じていただけるかもしれません。
その果汁に酵母を添加して発酵を行い、生まれるのが「伊豆Extra Sweet」です。
糖度がとても高い果汁を使用するため、通常のワイン酵母では発酵が難しいため、中伊豆ワイナリーでは、ソーテルヌ地方から分離された高糖度果汁用のワイン酵母を使用して発酵を行っています。
搾った果汁のごくごく一部で造られることもあり、できあがるワインはごく少量。
2024年は、188本のハーフボトルのワインができあがりました。
ワインははちみつやドライアプリコットのような濃密な香りが感じられ、口に含むととろりとした舌触り。
信濃リースリングらしい軽やかな酸もほのかに感じられ、さわやかなキレと長い余韻が残る上質な味わいが楽しめます。
中伊豆志太農場で育った信濃リースリングの自然の恵みが、ギュッと凝縮したひとしずくをぜひご賞味ください。
2024年のぶどうの生育について
2024年の静岡県伊豆市は、暖冬の影響で気温が高めでした。
そのため、萌芽や開花が例年より10日ほど早くなり、ぶどう樹は順調に生育しました。
5~6月は短期間で集中的に雨が降ったため、例年の約2倍の降水量となり、日照時間は平年並みでした。
8月に入り、ぶどうの成熟期にはやや雨が多くなり、気温はかなり高めで推移したため、一部の樹にはやや疲れが見え、病気になる樹もありました。
収穫期を迎える9月は、雨量が非常に少なく、十分な日照量が得られたため、例年よりも早い収穫となりました。
2024年のワイン造りについて
収穫したぶどうを除梗し、酵素剤を入れて30分おき、香り成分や味わいをしっかりと果汁に付与してからワイン造りを開始しました。
果汁をプラスチック製のドラム容器に入れ、冷凍庫に入れて凍結。
冷凍庫から出して溶け出てくる糖度の高い果汁を集め、糖度約39度の果汁を発酵させました。
酵母は、フランス・ソーテルヌ地方から分離された、高糖度果汁用の酵母を使用しています。
例年と比較すると、初発の糖度が低い状態でアルコール発酵を行ったため、発酵がスムーズに進みアルコール度数が高くなりました。
発酵を停止後、澱引きをして濾過を行い、瓶詰めしました。
伊豆 Extra Sweet 2024 テイスティングノート
濃い黄金色をしたワインは、テリがあり粘性が非常に高く、揮発性の香りがやや感じられるが、グラスをスワリングすると徐々になくなる。
アカシアのハチミツやドライアプリコット、サルタナレーズンやキンモクセイの花の香りが感じられ、口に含むととろりとした口当たり。
凝縮感のあるぶどうの旨みと、濃厚な甘みがゆっくりと広がり、かすかな酸味とともに切れ、長い余韻が残る。
よく冷やして食後のデザートとしてそのまま飲むのはもちろん、バニラアイスクリームに添えたり、マドレーヌやフィナンシェのような焼き菓子とともに味わうのにも向いている。
伊豆 Extra Sweet 2024 概要
製品名:伊豆 Extra Sweet 2024
製造本数:188本
ぶどう品種:信濃リースリング100%
ぶどう産地:静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%
アルコール分:13.0%