フランスのボルドー地方をはじめとする、世界各地の銘醸地で栽培されるプティ・ヴェルドは、複数の品種を用いてワインを造る際に、その力強い味わいがワインの骨格を作る品種として知られています。そんなプティ・ヴェルド100%で造ったワインが「伊豆プティ・ヴェルド2020」です。中伊豆ワイナリーならではの味わいを、ぜひご賞味ください。


この地に息づく人々をも照らし出す味わいの、中伊豆ならではの赤

フランス・ボルドー地方の補助品種として知られ、世界各地の銘醸地でも盛んに育てられているプティ・ヴェルド。
生まれるワインは黒みがかった濃い色合いで、しっかりとしたストラクチャーが感じられる特徴があり、世界各地の上質なワインの骨格を形作る品種として重宝されています。

高温にも強く、近年続いている日本の厳しい夏の暑さにも負けることなく、すくすくと育ってたわわに実った果実からは、濃厚な色合いと凝縮感のある味わいのワインが、ここ中伊豆でも生まれています。

このワインに使われているぶどうは、完熟させた状態で収穫を行っています。
通常、ここ中伊豆では、ぶどうが完熟するまで収穫を待つと糖度は上がりますが、酸度が落ちてしまう傾向が強いです。

しかし、2020年のぶどうは完熟させてもあまり酸度が落ちず、十分に酸が残った状態で収穫を迎えることができました。
そのため、プティ・ヴェルドが元々併せ持つ、まろやかな口あたりながら、ほどよい酸味がボディを引き締める、バランスの良い味わいのワインになりました。


プティ・ヴェルド単体で造られるワインは世界的にも数が少なく、中伊豆のテロワールだけでなく、プティ・ヴェルドという品種のポテンシャルを垣間見ることのできるワインとなっています。

しっかりとした骨格を感じさせるタンニンもありますが、渋みはほどよくやわらかな飲み口に仕上がっています。

また、濾過をかけずに瓶詰めしているので、充実したぶどうがワインに与える、ふっくらとした厚みも感じられます。

それはまるで、ここ中伊豆の地に育まれて生きる人々のような、しなやかで重厚感のある、それでいて柔和であたたかな印象のワインでもあります。

ワインを開ければ、語りかけてくるような表情豊かなワインを合わせるなら、ビーフシチューなどのデミグラスソースを使った牛肉料理や、グレイビーソースで食べる上質なローストビーフ、和食であればすき焼きやタレで食べる焼肉など、ちょっとしたごちそうとともにどうぞ。


2020年のぶどうの生育について

2020年は例年と比較すると梅雨が長く、毎日のように雨が降ったため、雨量は過去最大に迫る量でした。そんな中でも適切な作業と管理を行ったことで、病気の発生を抑えることができました。一転して梅雨明け後は好天が続き、ぶどうは一気に成長が進み、例年以上に完熟しました。ぶどうを完熟させると中伊豆では酸度が落ちてしまう傾向がありますが、2020年は十分に酸が残り、バランスが良いものとなりました。


2020年のワイン造りについて

2020年はぶどうを収穫して除梗し、粒の状態になったものを2つのタンクに入れ、2種類のワイン用酵母を添加してワインを造りました。発酵を終えたワインはプレスし、タンクでマロラクティック発酵を行い、12ヶ月の樽熟成を行いました。濾過は行わずに瓶詰めしています。


テイスティングノート

黒みがかったルビー色をしたワインは、ブラックベリーやアメリカンチェリーなどの黒い果実の香りとともに、カシスやプラムといった酸味のある果物の香りが感じられます。グラスをスワリングすると、クローブやナツメグなどのスパイスの香りと、なめし革のような香りが立ち上り、口に含むとふっくらと丸みのあるやわらかな口あたりで、ほどよい渋みと酸味が感じられます。

あと5年、10年と熟成させて味わうのにも向いています。料理を合わせるなら、牛肉のステーキやデミグラスソースを使った肉料理、グレイビーソースで食べるローストビーフ、タレで食べる焼肉やすき焼きなど、和洋を問わずちょっとしたごちそうとよく合います。


伊豆プティ・ヴェルド 2020 概要

製品名 伊豆プティ・ヴェルド 2020
生産本数 1033本
ぶどう品種 プティ・ヴェルド100%
ぶどう産地 静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%
瓶詰め日:2021年12月9日