中伊豆ワイナリーでは、温暖な気候の中で育まれた自社農園のぶどうを中心にワインを醸造しています。栽培家が丹精込めて育てたぶどうを最大限に生かし、ぶどうの個性が感じられるワイン造りには、醸造家のさまざまな知識や経験が駆使されています。この記事では中伊豆ワイナリーでの白ワイン造りについてご紹介します。
白ワインの基本的な造り方
まず、基本的なワインの造り方について解説します。ワインには白ワイン、ロゼワイン、赤ワインの3種類がありますが、それぞれ醸造方法が違います。その中でも基本となる白ワインの造り方をご紹介します。
白ワインを造るには、まずぶどうが必要になりますが、どのようなぶどうを使って造るかご存知でしょうか。もちろん、果皮が緑色や黄色をした白ぶどうを使うことが一般的ですが、甲州のような淡い紫色のぶどうに加え、果皮が黒いぶどうを使っても白ワインを造ることができます。
どうして果皮が黒いぶどうでも白ワインができるのかは、白ワインを造る工程の説明のもう少し後で解説することとします。
ぶどうを除梗破砕機にかける
ぶどうを収穫したら、一般的にはぶどうの粒がついている枝のような「梗」の部分を機械にかけて外していきます。除梗破砕機という機械を使いますが、機械を通すことで梗が取り除かれ、ぶどうの粒のみになります。ぶどうの粒は適度に破砕され、プレス機へと送られていきます。
ぶどうの果汁を搾る
プレス機はその名の通り、ぶどうの果汁を搾る機械です。搾るといってもぎゅうぎゅうと力をかけて搾るのではなく、機械の中で空気の力でバルーンを膨らませ、ソフトに力をかけてゆっくりと時間をかけて果汁を絞っていきます。
黒ぶどうを白ワインに使う場合、ワインの色のもととなる色素が果皮に含まれているため、力を強くかけてしまうとその色が出てしまい、ワインに色がついてしまいます。そのため、赤ちゃんの足で踏むようにそっと力をかけて果汁を搾ることで、果皮をあまり傷つけずに果汁がとれます。搾った果汁はタンクに送られる仕組みになっています。
果汁を発酵させる
タンクに送られた果汁に酵母を加えて発酵させます。このとき、中伊豆ワイナリーでは主にワイン用酵母を使用してワインを造っています。ワイン用酵母はぶどう品種ごとに適したものがあったり、特定の香りが出やすいものなどさまざまな種類があるので、どういうワインにするか考えながら酵母を選択しています。
中伊豆ワイナリーでは、低温管理のできるタンクでゆっくりと時間をかけて発酵を行っています。低温で発酵させることで、よりフルーティな香りが強く感じられるワインに仕上がるためです。
ワインを熟成させる
発酵を終えた白ワインは、酒質が安定するまで熟成させます。熟成するときに使用するのはステンレスタンクの場合もあれば、樽に入れて熟成をさせることもあります。
熟成させることで、ぶどう由来の香りやワインが発酵するときに生まれる香りだけでなく熟成による香りも含まれ複雑になり、また味わいもバランスがとれるようになります。
ろ過を行って瓶詰めする
ワインの熟成が終わったら、残すところは瓶詰めと出荷になります。瓶に詰める前にワインに出た不純物などを取り除くためにろ過を行ってから瓶詰めします。
中伊豆ワイナリーでは主にスクリューキャップのボトルにワインを詰めて出荷しています。スクリューキャップを使うと、コルク栓を使うよりもフレッシュさが保たれるのがメリットです。
中伊豆ワイナリーの白ワインの特徴
中伊豆ワイナリーの醸造設備はワイン生産が盛んなヨーロッパやアメリカから輸入された平均的なもので、大きな特徴があるわけではありません。
例えば古くからのワイナリーには、清酒に使用されていた琺瑯（ホーロー）タンクやコンクリートタンクがあったり、古い道具を使っていたりしますが、そういったこともなくごくごくスタンダードな設備や道具を使っています。
しかし、ワインの造り方にはちょっとした特徴があります。品種などによって違いますが、より品種の個性が感じられるよう、ホールバンチプレスやスキンコンタクトを取り入れていることです。
ホールバンチプレスとは
ホールバンチプレスとは、ぶどうを除梗破砕機にかけず、房を丸ごと潰して果汁をとる方法です。ぶどうを破砕しない分、果汁が酸素にさらされず、きれいな果汁がとれるという利点があります。
スキンコンタクトとは
白ワインを造るとき、ぶどうを搾ったら果皮と果汁はすぐに分けてしまうのが一般的ですが、しばらくの間果汁に果皮を漬けておくことで、果皮に含まれている成分を果汁に移す手法があります。これをスキンコンタクトといいます。スキンコンタクトを行うことで、ぶどう品種の個性がより強くワインに現れます。
中伊豆の恵みがぎゅっと詰まった白ワインをどうぞ
中伊豆ワイナリーでは、中伊豆の自然に育まれたぶどうを主に使ってワイン造りを行っています。ぶどうの個性を生かした気候風土の感じられるワイン造りは、一筋縄ではいかないものですが、ひとつひとつ手をかけて、丹精を込めてワインを造っています。ぜひ中伊豆ワイナリーの白ワインをご賞味ください。
