ワインは収穫した年の天候が品質を左右するお酒であるため、ワイン好きの方は収穫年を確認して購入することも多いといえます。2021年は雨が多かったために病気が発生し、ぶどう樹の管理が難しく、とれたぶどうも例年より糖度が低いものでした。しかし、そんな年に造った伊豆シャルドネ2021プレミアムが、日本ワインコンクールで銅賞を受賞しました。メダルの色は目指すものとは違いますが、栽培家と醸造家のたゆまぬ努力が評価されたワインをどうぞご賞味ください。

 

天候に恵まれなくとも良いワインが生まれるのは、栽培家と醸造家の努力があればこそ

お酒には醸造酒と蒸留酒がありますが、醸造酒に当たるワインはその中でもとりわけ農産物としての色が濃いお酒です。他の原料と違い、ぶどうの生果を使うワインはぶどうの質がお酒の出来を左右するため、ぶどうが収穫されるまでの天候が非常に重要になります。天気が良くカラっとした天候が続いた年のワインは凝縮感のあるものとなりますが、逆に雨が多かった年のワインは水っぽく感じられたりするものです。2021年もその例に漏れず、雨がちな天候が春から続き、7月には豪雨もありました。そのため畑の土が大量の水分を含んでしまい、病気を心配しながらの収穫となった苦労の多い年でした。

異常ともいえる天候だった2021年、ワイナリーのスタッフが一丸となったワイン造りを行うことで生まれたのが「伊豆シャルドネ2021プレミアム」です。雨が多かった分、ぶどうはいつもの年とは違い、糖度は上がらなかったもののしっかりと酸の残るものとなりました。その酸を生かして造ったワインは、普段の年とは異なり、フレッシュ感の強いものに仕上がりました。いつもと異なる個性のワインが生まれたのは、雨が非常に多い気候の中でも、栽培家がその対応力をいかんなく発揮し、健全なぶどうが収穫できたことに加え、例年と個性の違うぶどうを活かす醸造家の技術力が結集したことによるものです。

中伊豆ワイナリーの努力のたまものでもあるこのワインが2023年、日本ワインコンクールで銅賞を受賞しました。メダルの色は目指しているものとは違いますが、雨の多かった年に受賞できたことは、ここ中伊豆の地のポテンシャルと、スタッフの技術力の高さの現れでもあります。中伊豆ワイナリーの可能性と技術の結晶を、ぜひ味わって感じてみてください。

 

2021年のぶどうの生育について

2021年は春から雨が多く、雨が降るときも短時間に雨量が多くなることが頻繁にあった年でした。7月2日〜3日にかけての豪雨では、隣接する熱海市で土石流が起きたことから、記憶に残っている方も多いかもしれません。ここ中伊豆でも非常に多くの雨が降り、土が水分を大量に含んでしまったため、ぶどうの根が病気にかかる心配がありました。シャルドネにはさび病やベト病が葉に現れました。その後の天気も曇天が多く、ぶどうの生育の進み方は平年並みだったものの、成熟は弱く、糖度も平年より2度ほど低いものとなりました。

 

2021年のワイン造りについて

ぶどうは収穫後、破砕や除梗は行わずにぶどうをまるごとプレスする「ホールバンチプレス」を行いました。プレス後、タンクに入れてワイン酵母を添加し、発酵が始まったらすぐに樽に移して樽発酵。樽は通常の2倍の量が入るパンチョン樽を使用しました。樽発酵が終わってからも引き続き8ヶ月樽熟成をし、澱引きを兼ねて樽出しを行い、ろ過をしてから瓶詰めしました。

 

テイスティングノート

淡いレモンイエローのワインは、さわやかな柑橘類の香りと、樽由来のナッツやバターの香りが控えめに香ります。熟した洋梨やトロピカルフルーツのような味わいに加え、伊豆が特産のニューサマーオレンジのような、甘く熟した果実の味わいに、さわやかな酸味が感じられるワインになっています。なめらかな口当たりと、やわらかな旨みとコクが感じられ、シーフードのマリネやカルパッチョ、野菜や魚介類の天ぷら、白身魚のムニエルやグリルによく合います。肉料理なら鶏肉のソテーやオーブン焼きなどに合わせても。幅広い料理に合わせて楽しめるワインです。

 

伊豆シャルドネ 2021プレミアム 概要

製品名 伊豆シャルドネ 2021 プレミアム

生産本数 1220本

ぶどう品種 シャルドネ100%

ぶどう産地 静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%

アルコール分 12.5%