品種ごとにボトリングされたワインが多い中伊豆ワイナリーのワインの中でも、ヨーロッパ系のぶどう品種のみのブレンドで造られるのが「伊豆シンフォニーレッド2024」です。
単一品種とは違った、複雑で繊細な味わいは、ブレンドのワインならではの楽しみを教えてくれます。そして2024年は2023年とちょっと違う雰囲気のワインになっています。その理由も含めてゆっくりとぜひお楽しみください。
年ごとに違う顔を見せるのは、オーパス・ワンへのリスペクト
毎年リリースされるワインの中でも、単一品種のワインの場合は、その地域のぶどうのできばえをダイレクトに感じるものになると思います。
例えばその良い例はボージョレ・ヌーヴォーで、その年のその地域のぶどうの出来をはかることが出来たり、同じ品種でも別のドメーヌが造ると畑ごとに味わいが変わるといった「テロワールによるワインの差異」を感じやすいのが大きな特徴です。
しかし、世界を見渡すと、フランスのボルドー地方を筆頭に、多品種のぶどうをブレンドしたワインを造る地域も多く存在します。
多品種をブレンドし、そのバランスを年ごとに変えることで、一定の味わいを生み出すボルドーのシャトーがある一方、カリフォルニアに目を移せば、年ごとにベストのブレンドを変更することで、全く違った表情が見られるワイン造りをしているワイナリーもあります。
そう、それこそが、創業者の志太勤氏が憧れてやまなかったオーパス・ワンの造りでもあります。
中伊豆ワイナリーで造られる「伊豆シンフォニーレッド2024」は、そんなオーパス・ワンにリスペクトを払い、品種ごとに別々に仕込んだものをブレンドして造られますが、熟成したものの中から樽を選抜して、香りや味わいのバランスを見てブレンドしています。
つまり、中伊豆ワイナリーの黒ぶどうから出来た、その年のぶどうの収量や品質、樽での熟成具合のベストバランスのブレンドになっているといっても過言ではありません。
そんなこともあり、「伊豆シンフォニーレッド2024」は2023年に造ったものと、ブレンドの比率がかなり違います。
2023年のメインとして使われたのはプティ・ヴェルドでしたが、2024年はメルローが主体となっています。
メルローならではのやわらかい口当たりと細やかなタンニンに、シラーやプティ・ヴェルド由来のスパイスやなめし革の香りが感じられ、カベルネ・ソーヴィニヨンがもたらす黒い果実の香りが花開きます。
2023年とは違う風貌の、それでいて中伊豆ならではの味わいが感じられるワインを是非お試しください。
2024年のぶどうの生育について
2024年は暖冬の影響で気温が高めだったため、ぶどうの萌芽や開花が約10日ほど早く始まり、順調に成長していきました。
5~6月は短期間に集中的に雨が降り、例年の2倍以上の降水量を記録、日照時間は例年並みとなりました。
8月の成熟期はやや雨量が多く、気温はかなり高めで推移しました。そのため、一部の樹には暑さによる疲れと病気が見られました。
収穫期を迎えた9月は雨量が非常に少なく、十分な日照量が得られたこともあり、例年より早い収穫となりました。
2024年のワイン造りについて
収穫時と仕込み時にぶどうの選果を行い、状態の良い果実のみを選りすぐりました。
それぞれの品種を別々に仕込んで発酵させ、発酵終了後にプレス(圧搾)して乳酸発酵を行いました。
樽熟成は8~9ヶ月。熟成したものの中から樽を選抜し、ブレンドした後に濾過を行い、瓶詰めしました。
伊豆シンフォニーレッド2024 テイスティングノート
紫がかった輝くルビー色をしたワインは、なめし革やかすかな黒コショウなどのスパイスのアロマに、カシスやブラックベリーなどの黒い果実の豊かなブーケが感じられる。
ほのかなバラのような香りと、甘草のような甘みのある香りがラストノートに残る。
きめ細かなタンニンはさらりとした印象で、重厚感のあるボディとほどよい酸味、長い余韻が楽しめる。
控えめな印象ながらも数年寝かせば、そのやわらかでしなやかな味わいを発揮することが期待できるワイン。
料理に合わせるなら、黒コショウをきかせたシンプルなステーキ、牛肉の赤ワイン煮、グレイビーソースで食べる上質なローストビーフ、ラクレットチーズソースをかけた牛肉100%のハンバーグなど、牛肉を使った料理に。和食なら馬刺しや、わら焼きにした鰹のたたきなどとの相性も良いと思われる。
伊豆シンフォニーレッド2024 概要
製品名:伊豆シンフォニーレッド2024
瓶詰め日:2025年8月5日
製造本数:3057本
ぶどう品種:メルロー76%、カベルネ・ソーヴィニョン16%、シラー5%、プティ・ヴェルド3%
ぶどう産地:静岡県伊豆市 中伊豆志太農場産100%
アルコール分:13.0%